Japanese Association of Family Therapy
一般社団法人 日本家族療法学会

家族と接する時間が増えた今できること

外出の自粛で家族同士が接する機会が増えました。
一緒の時間を楽しむ家族がいる一方で、
お互いのイライラをぶつけたり、喧嘩したり、暴力(DVや虐待)になる場合があります。
今の状況はヤマアラシのジレンマに似ています。
ヤマアラシは身体中にトゲを持っています。一人だと寒いので温まろうとお互いに近づくと相手を傷つけてしまいます。
家族は付かず離れずの距離が良いと言われます。
離れすぎると寂しいですが、近すぎ過ぎても厄介です。
今の近すぎる家族関係をどう乗り切るか。
ピンチはチャンスでもあります。
外出自粛は家族のレジリエンスを高める良い機会です。
レジリエンスとは逆境をしなやかに撥ね返し成長につなげる力です
個人レベルでのレジリエンスとともに、家族システムにも秘めた力=レジリエンスがあります。
当学会では「家族レジリエンス」についての研究や実践が盛んです。
その一つの考え方をご紹介します。

家族レジリエンスを高めるために、今できること。

1)お互いに言葉を交わしましょう。
コミュニケーションは時にうまくいかないものです。
言いたいことが相手にうまく伝わらなかったり、気分を害してしまったり。
それなら、面倒だから伝えるのをやめてしまおう、、、それが一番良くありません。
多少の喧嘩や言い争いはOKです。
ストレスや衝突は小出しにしましょう。コントロールできる範囲なら構いません。
我慢して、我慢して、我慢しきれなくなって出すと爆発してしまいます。
自分の感情をコントロールできなくなるのが一番良くありません。

2)言いにくいことも、勇気を出して伝えましょう。
本当は、こんなこと言いたくない。。。
なぜなら、自分が恥ずかしくなるから。
相手を傷つけてしまうかもしれないから。
などと考えるでしょう。
相手と向き合い、本音を伝えることは、とても勇気がいります。
相手を信頼したい。
一緒の家族でいたい。
そういう気持ちが根底にあるのなら、伝えることがとても大切です。

3)相手の立場を尊重し、自分の立場をわかりやすいように伝えましょう。
感情的になってはいけません。
キレてはいけません。
気持ちを落ち着けて、相手のことを大切に思っているからこそ伝えているんだよと、ゆっくり丁寧に伝えましょう。

コロナ禍で家族のストレスが高まり家族が潰れてしまう場合もあるし、
逆に危機によって、困難な状況でも協力して乗り越えられる強い家族システムに成長できるチャンスでもあります。

田村 毅

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