Japanese Association of Family Therapy
一般社団法人 日本家族療法学会

倫理綱領

一般社団法人日本家族療法学会の倫理綱領

2020年改定版

一般社団法人日本家族療法学会会員(以下、「本学会会員」という。)は、本学会の定める専門的業務にもとづいて提供する専門的サービスが、これを求める人とその家族及び関係者に重大な影響を与えるものであるという社会的責任を自覚しつつ、それらの人々が専門的サービスを享受できるよう努め、その質の維持を保たねばならない。この目的のため、援助者・教育者・研究者としての臨床倫理を以下のように定めることとする。本学会会員は、職種を問わず、本倫理綱領の遵守を求められる。

(人権の尊重)

第1条 本学会会員は、援助を求めている人やその家族成員のもつ知る権利、拒む権利、決める権利をはじめとする人権を尊重する。

(守秘義務と説明責任)

第2条 本学会会員は、援助を求めている人やその家族に関する知りえたことについて守秘義務を第一とする。
2 原則として、研究などの公表にあたり、説明責任を果たし、同意を得る。
3 産学連携等による研究の適正な推進を図るため、利益相反(Conflict of Interest: COI)を開示し、研究成果を社会に還元する。

(自己研鑽と最善の利益の提供)

第3条 本学会会員は、臨床実践および教育・研究活動にあたり、常に十分な情報を提供し、資質・技能の向上のために研鑽を積み、援助を求めている人やその家族及び関係者が最善の利益を得られるように努める。

(関係機関への情報提供の際の同意)

第4条 本学会会員は,援助を求めている人やその家族について、学校・行政・司法機関等の関係機関から情報提供などの協力要請があった場合,援助を求めている人の同意を尊重することに努める。ただし,生命、身体の危険など緊急性のある場合や法の定めによる場合は,この限りではない。

(思想・信条・価値の尊重)

第5条 本学会会員は、援助を求めている人や家族、研究協力者、および教育・研修関係にある人々の思想・信条、特定の価値観やものの見方を尊重する。

(使用目的の限定)

第6条 本学会会員は、研鑽で得た援助のための知識や技術、家族研究で得た結果を臨床・研究・教育以外の目的で使用してはならない。

(本学会が認定する資格)

第7条 本学会会員が次の資格を有するときは、別途、細則によって定める。
一 認定スーパーヴァイザー
二 認定ファミリー・セラピスト

(遵守義務の違反)

第8条 本倫理綱領が遵守されなかったときの取扱は、別途、細則によって定める。

附則
1. 本綱領は、2013年4月1日より施行する。
2. 2020年6月7日改定

認定スーパーヴァイザー 倫理細則

一般社団法人日本家族療法学会「認定スーパーヴァイザー」(以下、「認定スーパーヴァイザー」という。)は、家族に専門的にかかわる人材の育成と家族療法を行う専門職に対する指導者として、本細則による倫理上の指針を遵守しなければならない。

(教育と研鑽)

第1条 認定スーパーヴァイザーは、家族療法に関する最新の知見と技術の向上を目指し、多様なスーパーヴィジョンの方法や形態について、継続的に研鑽を積まなければならない。家族支援や家族療法の実践にたずさわる専門家や本学会の会員に対するスーパーヴィジョンの活動を真摯に検討し、倫理面での点検を行うものとする。

(個人情報の保護)

第2条 認定スーパーヴァイザーは、スーパーヴィジョンの過程で知りえた個人情報の管理に細心の注意を払い、プライバシーの保護に努めなければならない。

(公表に伴う責任)

第3条 スーパーヴィジョンの事例や研究成果の公表に際しては、法令の定めのあるものを除き、原則として、スーパーヴァイジーから同意を得ることとする。

(職権乱用の禁止)

第4条 認定スーパーヴァイザーは、一般社団法人家族療法学会の認定の資格であることを自覚し、家族療法の専門性と信頼を傷つけることのないよう配慮しなければならない。

(専門的な指導関係の維持)

第5条 認定スーパーヴァイザーは、スーパーヴァイジーに対して契約の範囲を超えた金品や情報の授受、私的関係の構築及びハラスメント行為を行わない。

(インフォームド・コンセント)

第6条 認定スーパーヴァイザーは、指導に先立ちスーパーヴァイジーに対してスーパーヴィジョンの内容、期間、目標、守秘義務、リスク、対価、その他必要な事項について責任と義務等についてじゅうぶんに話し合い、原則として、文書により確認する。

(本細則の違反)

第7条 本細則が遵守されなかったときの取扱は、別途、定める。

附則
1. 本細則は、2020年6月7日より施行する。

認定ファミリー・セラピスト 倫理細則

一般社団法人日本家族療法学会「認定ファミリー・セラピスト」(以下、「認定ファミリー・セラピスト」という。)は、家族療法を行う専門職としての信頼と実力を担保するために、本細則による倫理上の指針を遵守しなければならない。認定ファミリー・セラピストは、常に倫理的な自覚をもって職務を遂行し、社会や家族や個人に対する責任と義務を果たさなければならない。

(教育と研鑽)

第1条 認定ファミリー・セラピストは、家族療法に関する最新の知見と技術の向上のために、継続的な教育を受け、研鑽を積まなければならない。家族療法の実践にたずさわっている場合は、認定スーパーヴァイザーその他関連領域の専門家等からスーパーヴィジョンを受け、自らの活動を真摯に検討し、倫理面での点検を行うものとする。

(個人情報の保護)

第2条 認定ファミリー・セラピストは、活動の過程で知りえた個人情報の管理に細心の注意を払い、プライバシーの保護に努めなければならない。

(公表に伴う責任)

第3条 事例や研究成果の公表に際しては、法令の定めのあるものを除き、原則として、個人または家族から同意を得ることとする。

(職権乱用の禁止)

第4条 認定ファミリー・セラピストは、一般社団法人家族療法学会の認定の資格であることを自覚し、家族療法の専門性と信頼を傷つけることのないよう配慮しなければならない。

(専門的な関係の維持)

第5条 認定ファミリー・セラピストは、援助の対象者である個人や家族に対して、専門的な関係の範囲を超えた金品や情報の授受、私的関係の構築を行わない。

(インフォームド・コンセント)

第6条 認定ファミリー・セラピストは、実践に先立って、援助の対象者である個人や家族に対して援助の内容、期間、目標、守秘義務、リスク、対価、認定ファミリー・セラピスト自身と対象者双方の責任と義務等についてじゅうぶんに話し合い、対象者が理解したことを、原則として、文書により確認する。

(他の専門家との連携と協力)

第7条 認定ファミリー・セラピストは、ひとつの機関や組織において他の専門職と連携しなければならないときは、他職種の専門性を尊重し、協力して、対象者である個人や家族の援助や福祉の実現に努めなければならない。

(本細則の違反)

第8条 本細則が遵守されなかったときの取扱は、別途、定める。

附則
1. 本細則は、2020年6月7日より施行する。

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